今回は、全7回連載「子育ての究極目標「自立」を紐解いてみた」の第5回。
この記事では、子供の自立心を育てるコミュニケーションの取り方について解説します。
- 子どもの自律・自立とは?
- 年齢別の子どもの自立度チェック
- 自立のメカニズムと自立心の育て方
- 自立出来ない子どもの対処法
- 子供の自立心を育てるコミュニケーションとは?
親子の自立を促すコミュニケーションマインドセットとは?
まず、具体的な内容に入るまえに、前提となる考え方を共有しておきます。
どんなに小さな子どもであっても、独立したひとりの人間であると尊重すること。
当たり前のことですが、これは子育てにおいて最も重要な考え方です。
このマインドセットさえ出来ていれば、そこから生まれるコミュニケーションはすべて親子の自立を促進します。
逆に言えば、親子のコミュニケーションの失敗のほとんどが、子どもと自分(親)を切り離せないことによって起こります。
想像して下さい。
もし、赤の他人に対して、
あなたのためを思って…
よかれと思って…
私がやってあげなきゃ…
というスタンスでコミュニケーションを取りにいったら、大抵うまくいきませんよね?
それとまったく同じことが、親子のコミュニケ-ションにも言えるのです。
このように、子どもをひとりの独立した人間であると尊重し、そのうえでコミュニケーションを考えることが重要なのです。
家庭内コミュニケーションにおける子どもの自立心の育て方
では、マインドセットができたうえで、具体的な家庭内のコミュニケーションについて考えていきましょう。
親子のコミュニケーションを考えるうえで押さえるべきポイントは、下記の4つです。
- 親子は揺るがない安全基地であると伝え続けること。
- 適切な挑戦と失敗の経験を邪魔しないこと。
- 自分の人生は自分で決めるものであると伝え続けること。
- 間違ったコミュニケーションをしたときには、謝り、改めること。
もちろん、コミュニケーションは、決して言葉だけではありません。
むしろ、非言語のコミュニケーションの方が伝える情報量としては大きいものです。
言語・非言語のコミュニケーションを通じて、家庭内でこの4つのポイントが抑えられていれば、子どもの自立は促されるといって良いでしょう。
1.親子は揺るがない安全基地であると伝え続けること
まずは、親は子にとって常に信頼できる安心安全な存在であることを言葉や態度、ふれあいによって伝えましょう。
子どもは親との信頼関係を土台に、外部環境に飛び出していきます。
この土台が盤石でなければ、子どもは思いきって外の世界で挑戦することが出来ません。
本来は、乳児期(0歳~)にたっぷりと愛情を注がれることで得られる潜在的な関係性ですが、
その後の子育てにおいても継続的に伝え続けるべきです。
例えば、子どもが友だちと喧嘩したときも、先生に怒られたときも、テストで低い点数をとったときも、試合でまけたときも、
家に帰ればいつもと同じように美味しいご飯や家族との団らんの時間がある。
これは当たり前だけど、とても重要なことなのです。
2.適切な挑戦と失敗の経験を邪魔しないこと
次に、挑戦とその結果を邪魔しないコミュニケーションが重要です。
やりがちなのが、子どものやろうとしていることに対して、親が口出し・手出ししてしまうことです。
その挑戦は無謀だよ。
そのやり方したら100%失敗する。
もっとこうすれば良いのに。
もし、そう思ったとしても挑戦と失敗を邪魔してはいけません。
なぜなら、子どもはその経験から責任感など自立に重要なことを学ぶからです。
また、挑戦と失敗から学びを得られることの価値を知るからです。
そして、挑戦して結果というフィードバックを得て、また挑戦して…という好循環を回せるようになるのです。
親は、子どもの挑戦に対して、余計な口や手は出さずに目や心で見守ることが、重要なコミュニケーションになるのです。
3.自分の人生は自分で決めるものだと伝え続けること
次に、常に自分の人生の主導権は自分にあることを伝えるコミュニケーションが重要です。
日本の文化のもとで教育を受ける子どもが失いやすいもの、それは自分の人生に対する主導権です。
だから、子どもが決断するタイミングで、それを言語化して伝えてあげることがとても重要です。
1のコミュニケーションにも近いかもしれません。
例えば、進学先や就職先を決めるときには、親としては「あなた(子)が考えて決めたことならそれでいい」と伝えましょう。
自分の人生なのだから自分で考えて決めることが最も重要であることを伝えるのです。
もちろん、進学や就職などの大きな決断だけでなく、日々の小さな決断の積み重ねから子どもに委ね、
親としてその決断に賛同することを約束しましょう。
4.間違ったコミュニケーションをしたときには、謝り、改めること。
前回の「自立出来ない子どもの対処法」でも述べましたが、コミュニケーションを間違えたときには、すぐに謝り、改めることを伝えましょう。
親も子同様ひとりの人間であり、過ちを犯すものです。
言わなくてよいことまで口出ししてしまったり、
子どものためを思って失敗しないようにと手出ししてしまったり。
そのときには、素直に謝りましょう。
さっきはちょっと機嫌が悪くて、言わなくてよいことまで言っちゃってごめんね。
せっかくチャレンジしようとしていたのに、先に手を出してしまってごめんね。
これからは気をつけるから、なにか嫌なことがあったら言ってね。
これでいいんです。
子どもはこれで「親も完璧な人間ではないこと」を学び、ひいては「完璧な人間などいないこと」を学ぶのです。
そして、上記のような自立に向かうコミュニケーションの積み重ねによって、じぶんの人生をじぶんでつくることが出来るようになるのです。
まとめ
僕が、今のようなじぶんにしか生きられない人生を送れているのは、確実に親や周りの大人のおかげです。
両親ともに、上記のようなコミュニケーションを取り続けてくれました。
もちろん、お互いにコミュニケーションを間違えることはありましたが、
少し落ち着いたら謝り、改めることができました。
そのときにはまだ子どもだったので、「謝るなら言うなよ!」とか思っていたこともありましたが、
今となってみればこういうことだったのかと納得できます。
そして、そのようなコミュニケーションをとってくれていたおかげで、
今の僕の子どもに対するコミュニケーションは、明らかに自立を促すものになっています。
つまり、自立を育てる精神というのは脈々と引き継がれていくものなのです。
そこで、次回はまとめに入るまえに、特別回として子育てを終えた親に聞いた「子どもの自立」について、実際の子育て経験を踏まえた意見をお伝えしたいと思います。
ちなみに僕には5個上の姉がおり、2人とも中学受験で慶應SFCに入り、卒業後は自分らしい人生を歩んでいます。
実際に、どのような考えで僕たちを育ててきたのか?
経験した成功、失敗、葛藤…。きちんと取材して来ます。
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